2018年11月1日木曜日

突き進め!晃平46パーセント!!!


お久しぶりです。

プロスノーボーダー晃平です。

「facebook」では何回か近況報告させていただきましたが、

ブログは脊髄損傷受傷10日後以来の更新となってしまいました。

ご心配おかけした皆様、

何度もブログに足を運んでいただいた皆様、

更新が遅くなってしまい本当に申し訳ありませんでした。

 



こちらは、本当あっという間に11月になってしまったという感じで、
 
受傷してから一日一日のリハビリを大事に生活しながらも、

頭の中では、

怪我のこと、

これからのこと、

ずっと考えていましたが、

全く整理しきれませんでした。


 
でも、



4ヶ月半を過ぎ、

やっと吹っ切れることができました。





「笑って生きる!」

そして、

「前に!前に!」





今回は

【今どうしてるのか?】

【どうやって怪我をしたのか?】

【頸髄損傷とは?】

【今の症状は?】

などについて報告させていただきたいと思います。

暗くなる要素もありますが、ありのままの現状を書かせていただきたいと思います。




 
【今どうしてるのか?】
 
今は仕事復帰前最後の追い込みで長野県内のリハビリ施設に再入院しています。



<これまでの経緯>
 
長野日赤に救急搬送(6月10日)
 ↓
長野日赤退院(7月28日)
 ↓
札幌の実家から通院でリハビリ
 ↓
長野のアパートに戻る(9月23日)
 ↓
長野県内のリハビリ施設に再入院(10月3日~11月9日退院予定)


 
入院と聞くとまだ車椅子なのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、

もう歩いて生活しています。(歩き方は変ですが、涙)

受傷から二週間は自分の身体なのに、

自分の身体じゃないみたいで全く動けなかったのですが、

時間の経過とともに少しずつ身体が動くようになってきました。

このブログも特殊な器具ではなく、キーボードを見ながらゆっくり打っています。

でも、身体の中では未だに、かなり辛い状況が続きます。(← 特に全身の痺れと指の麻痺)

自分の不注意でこのようになってしまったので自業自得なのですが、

4ヶ月半過ぎ、改めて取り返しのつかない大怪我をしてしまったと認識させられています。

「第五頸髄損傷 四肢不全麻痺」 - かなりやっかいです。




 
【どうやって怪我をしたのか?】
 

↑ 昨シーズンのプロ戦優勝シーン(動画後半 右:川口晃平)
 

 
2018年4月2日、株式会社小賀坂スキー製作所入社を機に、

これまで23年間アルペンスノーボードのレース一筋でしたが、(↑ アルペン動画)

自分の担当である「OGASAKA SNOWBOARDS」は、

フリースタイル商品を多く扱っていて、

一人でも多くの人にカービングの魅力を伝えるためにも、

まずは自分が、色んなスノーボードを知らなくてはならない、

ジャンプも最低限できるようになりたいと思い、

年中練習ができるマットの施設に休日を利用して通い始めました。


 

↑ 怪我動画ではありません。1日目~7日目の練習の成果


 
全然カッコ良くも飛べないし、
 
着地もめちゃくちゃですが、

ほぼジャンプ未経験の35歳にしては、

「短期間で上達が早い方なのではないか?」

また、

「マットだからどんな転び方をしても大怪我はしない。」

結果的にこれらの過信が8日目の怪我につながってしまいました。



 
 
通い始めて8日目、2018年6月10日(日)。

たぶん一生忘れることができない僕の第二の誕生日。

この日は会社の先輩と一緒に練習。

目の前で先輩のチャレンジに感化され、

普段やらない回転方向に挑戦。(Frontside 360)

意外にもすんなりと回れ、

感触が良かったためか、気持ちが高揚。

問題はここからです。

次のジャンプで調子に乗ってしまい、

普段やっていない回転方向にプラスして、

バックフリップをミックスした3Dに挑戦してしまいました。

結果、力加減がわからず、横回転は回転不足、縦回転は回り過ぎてしまいました。

横回転は半回転だったので顔は山側を向いた状態になり、(斜面とは反対方向)

縦回転は回り過ぎたため頭から落下、

また、縦回転を回り過ぎたと思った瞬間に受け身を取ろうと思ってしまったため、

グラブを離して落下地点を見てしまい、エビ反りになってしまいました。

つまり、約4メートルの高さから斜面とは反対方向を向いて、

エビ反りになって頭から着地してしまったので、

着地した反動で瞬間的に首を背中側に過伸展し、

瞬間的に頸椎が外れ、脊髄が押し潰され、

大事な神経を大きく損傷してしまいました。

 
 
過ぎた話ですが、

少しでも横を向いていれば、、、

回り過ぎたときに回転を止めようとしなければ、、、

回り切ってしまえば、、、

顎を引いていれば、、、

失敗した際のシミュレーションが一切できていませんでした。

同じ施設ではかなり酷い転び方をよく目にしますし、

その後もケロッとしていて、

骨折とかも聞いたことありませんでした。

自分には不運が重なってしまいましたが、

完全に自分の過信とシミュレーション不足が発端であり、

未然に防ぐことができた怪我だったと思います。

マットの施設が危ない訳ではありません。

自分の力量以上のことを急激にトライした自分が悪いのです。



この後、

首から下の感覚がなくなり、

自分の身体なのに、

自分の身体じゃない状態になりました。

マットの上で動けなくなった自分を、

スタッフの皆様や周りにいた方の冷静な対処のおかげで、

悪化せずに救急車で搬送してもらうことができました。

せっかく皆さん楽しく練習していたのに、

自分のせいで楽しいムードを壊してしまったり、

施設の方や周りの方に大変ご迷惑をおかけしました。



 
↑ 救急車待ちのときの写真
この時、意識ははっきりしているが、首から下の感覚がなく、
絶望で、生き地獄でした。
 
 



あんなに新鮮で楽しくて、

毎週上達するのが嬉しくて、

笑顔で先輩方に報告していたスノーボードのジャンプで、

カッコ悪くて、情けなくて、言葉になりません。

そして会社にも、多大な迷惑をかけることになってしまいました。

何度も言いますが、決してスノーボードのジャンプが危ない訳ではありません。

何事も新しいことに挑戦するときは、

時間をかけて一つずつ行わないとリスクが大きくなるということです。

そんなの当たり前のことだと思いますが、

現場で気持ちが高ぶったときに如何に冷静でいられるかが鍵だと思いました。

この自分の教訓が、このブログを読んでいただいた皆様のお役に立てると幸いです。




 
【頸髄損傷とは?】
 
僕が説明しなくてもご存知の方が多いと思いますが、

背骨は、大きく分けると首の部分が頚椎、胸の部分が胸椎、腰の部分が腰椎になります。

その背骨の中には脳からの指令を全身に伝達する大事な中枢神経があります。

それが脊髄なのですが、頚椎の中の脊髄を頸髄と言います。

脊髄損傷は、損傷部位が上になればなるほど下への障害範囲が広くなります。

つまり上で一度遮断されてしまうと下には指令が伝達されないということです。

また、骨や筋肉や末梢神経とは違い、

脳と同じ中枢神経である脊髄は、二度と再生しないと言われています。

 

 
↑ MRI画像(上:縦断面 下:横断面  白くなった部分が死んでしまった神経細胞)
 
 
 
↑ 上の横断面の画像を自らフォトショで面積を割り出したもの(大雑把)
周りの生きている部分でなんとかつながっている状態
 
 

上のMRI画像は長野日赤を退院してから札幌の病院で撮ったものです。

この写真を見たとき本当にショックで、

受け入れるのに1ヶ月以上かかりましたし、

今回の再入院のきっかけになった写真でもあります。


 


「あなたは一生、46パーセントしか伝達できませんよ」




 
と突きつけられた写真だったからです。

脊髄はそんな単純にできてるものでないと思いますが、

46パーセントに当てはまることが非常に多いです。

いや、むしろそれ以下かもしれません。。。



 

【今の症状は?】

1、身体が重い

常に重力が2倍な感じがして、全身が重くてだるいです。

足には鉛がついてる感じがします。




 
2、力が出ない

50キロあった握力も、右20キロ左14キロしかありません。

90キロ上げれたベンチプレスも40キロしか上げれません。

全力で顔を真っ赤にして力んでも、

力が半分も伝わらない、

今まで、プロのアスリートとして運動してきて、

これほどの屈辱感はありません。




 
3、感覚がない

腰から下が半分ぐらいしか感覚がなく、お風呂に入るとぬるくて、

腰あたりからいきなり熱く感じます。

非常に気持ち悪くていつも鳥肌と痙性が出ます。

両腕は、小指側の麻痺が強く、

小指の感覚は5パーセント、薬指の感覚が10パーセント、

中指の感覚が20パーセント、人差し指の感覚が60パーセント、

親指の感覚が90パーセントというようなイメージです。




 
4、指が動かない

感覚がないのと似てるのですが、

指が言うことを聞いてくれません。

親指と人差し指は割りと動くので最低限生活はできるのですが、

薬指と小指はほぼ使いものにならないのが現状です。

普通に箸を持つことができないですし、ブラインドタッチができません。
 
 
 

 
5、バランスが取れない

腰から下の感覚が弱いせいか、体幹がとても不安定です。

誰かに押されたらそのまま倒れてしまう気がします。

また、太ももの内側に力が入らず、

膝を屈曲したまま横に重心を移動させると力が抜けて後ろに倒れてしまいます。

そして、なぜか歩くとき、ガクッと膝が抜けてしまいます。


 

 
6、体力が持たない

痺れのせいでもあるのですが、

集中力が長く持たず、

すぐに疲れて横になりたくなってしまいます。




 
7、便秘

受傷前、1日1回以上の快便でしたが、

麻痺の影響か安定して5~6日に一回になってしまいました。

出ないわけではないので、大丈夫だとは思いますが、

常にお腹が張っていて気持ち悪いです。




 
8、痙性・関節痛・筋硬直・反射亢進・クローヌス
 
後遺症たちなんですが、

朝起きると強い痙性から始まり、

固まった指の関節痛が襲ってきます。

足に振動を与えると痙攣するクローヌスというものがあり、

走ったりすると着地した振動で足がつっぱってしまいます。

転びそうになったときなど、びっくりしたときに手が固まって開きません。

また、麻痺の影響で全身がかなり硬くなってしまいました。


 


9、痺れがひどい

最後に、一番辛くて一番早く治ってもらいたいのが、

「痺れ」と「締め付け」です。

麻痺域と同じ場所に痺れがあって、

両腕と腰から下が24時間ビリビリしています。

そして、腰まわりにひとつと、

両膝の少し上の太ももに紐でぎゅっと縛られたような締め付けがあります。

24時間、広い範囲で長時間正座したときのような痺れと、

血を止められているような締め付けが三か所あり、

常に神経が擦り減って非常に辛いです。

 
 


まだまだ退院してからでないとわからないこともあるかもしれませんが、

今の症状はだいたいこんな感じです。

もしかしたら傍目、健康そうに見えるかもしれませんが、

身体の中ではこのような辛くて動けない状態が24時間続いています。

そして、これが一生続くかもしれないと思うと本当に辛いです。

でも、自分の不注意でなってしまったことなので、

もちろん受け入れていくしかありません。

世の中には自分が原因でなくても受け入れて前を向いて頑張っている人がたくさんいます。



↑ スカパー公式チャンネル
 
つい先日(10月20日)、BSスカパーで放送された俳優滝川英治さんのドキュメンタリーです。

滝川英治さんは、滝川クリステルさんの従兄妹であり、同じ頸髄損傷者のひとりです。

より多くの人に怪我のことを知ってもらいたいという想いから公開されているので、

勝手にリンクを貼らせていただきました。

自分のブログで他の人のことを書くのも何ですが、

滝川さんは受傷直後人工呼吸器をつけていたので、

損傷部位は自分(第五頸髄)よりも上で、損傷も自分より大きいと思います。

自分ももう少し首へのダメージが大きければ同じように歩けなかったかもしれません。

滝川さんのことは、

2年ほど前にたまたまテレビで放送されていた弱虫ペダルの舞台「野獣覚醒」を見て、

滝川さん演じる福富と野獣荒北の迫真の演技に魅了され知っていたので、

怪我を知ったときは非常にショックでした。

この動画を見て、

同じ脊髄を損傷したものとして共感できる部分も多かったですし、

滝川さんの現実を受け入れて、前へ進む姿勢を見て、

自分も落ち込んでいる暇はないと勇気付けられました。



今回のブログ投稿を機に自分も、

受傷前の身体と今の状態を比較するのではなく、

今の状態から前に突き進む!

そして、

もう弱音は吐かないと決意しました。





「笑って生きる!」

そして、

「前に!前に!」





物理的には46パーセントしかつながっていなくても、

つながっている46パーセントを鍛えに鍛え、

「アキラ100%ならぬ、晃平46%として」 笑

復活を目指して頑張りたいと思います!



また、仕事の面でも小賀坂スキー製作所は、

「勝利するスキー・スノーボード」はもとより、

老若男女幅広い層に楽しんでもらうスキー・スノーボードも製造しています。

今回、障害を負ってしまったことで失ったものも多いのですが、

今まで感じ取れなかったことが感じ取れるようになったことで、

良い商品を企画できたりと、プラスの面も多いはずです。

瀧川さんの友人も同じようなことを言ってました。

今回の経験をプラスに転換して、

仕事の面にも生かしたいと思っています。





長くなってしまいましたが、

最後までご覧いただき本当にありがとうございました。

そして、長野日赤や札幌の実家に見舞いに来ていただいた皆様、

見舞いに来れなくても気にしていただいた方、

たくさんの元気や、元気が出るものをいただいた方、

応援本当にありがとうございました。

生まれ変わった新しい自分でこれからも頑張っていきますので、

もしよろしければ、引き続きお付き合いください。

今後とも宜しくお願いします。(^_^)









 
 
受傷後、約一週間
 
 
 
病室から見ていた景色
 
 
 
受傷直後すぐに北海道から駆けつけてくれた母親。
三日三晩つき添ってくれました。
本当親不孝者です。
 
 
 
地元の同級生からの寄せ書き
感動しました。
戸崎夫婦が集めてわざわざ持ってきてくれました。
 
 
 
日体大スキー部同級生のみんなからも
 
 
 
「良質のアマニ油」「マルチビタミン」
受傷直後、たけし接骨院の水之江先生が
愛知県からかけつけてくださりいただいたもの。
毎日飲み続けたおかげで身体が動くようになったのかも。
  
 
 
電車とバスを乗り継いでわざわざ遠くから見舞いに来てくれた高校生
未来のオリンピック選手、山本周太郎選手
 
 
 

新幹線ではなく電車で姫路から見舞いにきてくれたKEIさん

 

晃平キャンプの生みの親、こぶさん
 
 
 
カーブマンオフの皆様よりありがたいメッセージ
「あきらめの悪い女 杉森清美
絶対にあきらめない男 川口晃平」
 
 
 
ショーさんデザインの「前に!前に!晃平Tシャツ」
 
 
 
札幌でやりたかった秘密の特訓
硬くなった身体をHOGRELでほぐす
 
 
 
いつもお世話になっている加藤プロファミリーが、
わざわざ札幌まで千羽鶴を折って持ってきてくれました。
 
 
 
夏、アジア大会金メダルラッシュに便乗。
奥から引っ張り出してきた金メダル2個と、
新しいスノサウルスTシャツで記念撮影。
メダルから元気をもらいました。
 
 
 
北海道で活躍されている皆様のBBQに呼んでいただき、
たくさん元気をいただきました。
 
 
 
ここでも新しいスノサウルスTシャツ。
はなこさんと偶然お揃いでした。
はなこさんお腹大きくてびっくり。
はなこさんのお子さんからもたくさん元気もらいました。
 


カーブマンオフの村山さんから意外なプレゼントが!
すみません。まだ開封できてません。涙
落ち着いたらじっくり遊ばせていただきます。
 
 

震災びっくりしました。
最寄のコンビニがこんなことになるとは。
こちらは全然大丈夫でしたが、
被災された皆様の1日も早い復興を願うばかりです。



僕のスノーボードの原点、小森プロ(写真左)
そして、尊敬する
「あきらめの悪い女 杉森清美」プロとの初コラボ
 


札幌でお世話になったPTの上宗さん



こうのすけくんと初対面

 
 
9月27日に開催されたOGASAKAライダー向け工場見学の集合写真。
ライダーの皆さまが全国から集まっていたのでご挨拶に!
 
 
 
11月12日(月)仕事復帰を目指して現在リハビリ入院中。
 
 

3 件のコメント:

  1. 新たな挑戦の始まりですね!
    応援してます!
    パワー下さい!

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  2. スノーボードのレースをアマチュアで楽しんでいる者です。
    晃平さんとは、昔一度installerの試写会でお会いした事があります。
    怪我をされたという事を最近知り、blogを読ませて頂きました。自分と同世代で、ずっとトップを走り続けていたので、本当にビックリしました。
    本当に、本当に大きな怪我だったのですね。怪我をされた方の気持ちは、怪我をされた方にしか分からないと思います。ぼくには想像もつきません。きっと想像も出来ない程の暗闇に襲われた事と思います。
    昔、ビートたけしが、人は生まれて生きて死ぬ、これだけでたいしたものだ、といった発言をしていたと思いますが、最近常々そう思います。生きる事は、只でさえ辛い事が多い。晃平さんは、まして怪我、後遺症もある。
    それでも、晃平さんは前を向いて生きる、と言われる。本当に尊敬します。一日一日を出来る事をやって生きる。結局、人はそれしか出来ないと思います。晃平さんの一歩一歩を心から応援しています。長文、失礼しました。

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  3. 通りすがりのレーサーだった中年です。
    私は靱帯損傷でレースをリタイヤしました。

    名立たるレーサーの中で、KOHEIの滑りが一番好きです。
    怪我をされた事は噂程度に知っていましたが、これほ程だったとは知りませんでした。
    お見舞い申し上げます。

    本当にKOHEIの滑りが好きです。
    無駄のないシンプルな一番速い板なりの滑りに鳥肌が立った事を覚えています。

    KOHEIさんの納得のいく状態に回復される事を切に願っております。
    焦らずゆっくり確実に治療して下さい。
    あなたのファンはあなたの滑りよりも、あなたの回復と人生の充実を願っています。

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